さらにこの時計をよくみていけば、数々の発見が待っているだろう。リューズの位置が上にずらされているのもそうだが、そもそもこの時計の時分針は、ダイアルの「中央」に取り付けられていない。やや上にオフセットされているのだ。そのため、バーインデックスの長さも微妙に変えられており、12時位置に近くなるにつれ短くなり、さらにほんのわずかだが細くもなっている。
7時位置にオフセットされたスモールセコンドにも注目して欲しい。5秒間隔のインデックスはやはり長さが変えられており、さらに目を凝らして見ると、中心部に向かってその線が細くなっていくのがわかる。
このデザインに対し「時計製造の中でよく見る『囲まれて閉じた円』より、オープンで風通しのよさを感じるダイアルにしたいと思っていました。ダイアル上のインデックスの先に伸びるラインは中心軸に向かって徐々に細くなり、やがてほとんど見えないくらいの点になるというイメージです。これこそがブランドが重視する『連続性』という考えを強調しています」と、ゴティエ氏は語っている。
こうしたローマン・ゴティエ独自の“バランス感覚”は保ちつつ、ダイアルの一部を大胆にオープンワークしたのが、もう一本の新作だ。ガンギ車やアンクルといった時計の心臓部に加え、秒針(4番車)のメカニズムが露わに。この歯車は、開口部がローマン・ゴティエ特有のデザインになっており、ブランドの美的なシンボルである。
開口部を下から支えるようにレイアウトされたブリッジには、工房のスペシャリストの手作業による特別なエングレービング技術によって、「槌目(つちめ)」模様が施されている。これまでケースバックからしか楽しむことを許されなかったローマン・ゴティエの美しいムーブメントの一部が、ダイアル側からも堪能することが可能になったのである。
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