1929年にラ・ショー・ド・フォンで創業したルイ・エラールは、長らく伝統的なスイス高級時計を手の届きやすい価格帯で展開してきた。だが、同様のコンセプトを持つ後発ブランドが増えたこともあり、2010年代からは路線変更を検討する必要に迫られる。そして、新生ルイ・エラールを任されることになったのが、現CEOのマニュエル・エムシュである。2019年より彼が関わるようになると、ブランドはさっそく人気ウオッチデザイナーのアラン・シルべスタインとのコラボウオッチを発表。ルイ・エラールが新たなフェーズに突入したことを大々的にアピールする。さらにその勢いのままルイ・エラールは、時計師や異業種の天才たちとのコラボレーションを連発。一方でクオリティの向上にも取り組むことで、5年のうちにダイナミックなリブランディングを成功させた。
最新コラボレーションウオッチでは、時計師のコンスタンチン・チャイキンやヴィアネイ・ハルターとの再びタッグを組み、それぞれのブランド世界観と代表作の意匠を、より緻密にレギュレーターデザインで表現。GoSとの共同製作では、ブランドとして初めてダマスカス鋼を文字盤に採用するなど、新しいことにも果敢に挑んでいる。こうした多彩なコラボ相手との製作は、超高額品をルイ・エラールを通じて楽しめる点でも極めて魅力的。時計愛好家を自認する人なら注目しない手はない!
ラインナップは、レギュラー1モデルと数量限定2モデルの計3モデル。数量限定モデルは、プレステージショップ限定100本、公式オンラインストア「with ORIENT STAR」限定20本となる。さらに、コンテンポラリーコレクションM34からは「M34 F7 セミスケルトン」が2モデル登場。華美からの脱却をコンセプトに掲げ、シンプルを追求。ネイビー文字盤は放射模様とクリア塗装による深い艶があり、ペルセウス座流星群や夜空を見事に再現している。
クラシックコレクションM45は、星団すばる(プレアデス)に通じる壮大な宇宙と永遠の時の流れを象徴してきたシリーズだ。最新作「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」は、「悠然とした時の姿」をテーマに掲げ、要素を削ぎ落したシンプルなデザインを追求している。時刻表示は時針と分針のみ。その他の機能は、ブランドのアイコンであるパワーリザーブ表示と月齢表示にとどめた。
ホワイト文字盤のレギュラーモデルが描き出すのは、夜の静寂に月がひとつ輝く情景である。放射目仕上げの上に厚いクリア塗装を重ねた文字盤は、艶やかで優美な質感を生み、ブルーのリーフ針が映える。カーブガラスに沿って先端を曲げた長い分針が目盛りに届く様は精緻であり、秒針をあえて省いた構成は、ゆったりとした時の流れをより際立たせる。